障害者雇用と障害者差別解消法
障害者差別解消法とは
「障害者差別解消法」は、国連の「障害者の権利に関する条約」に対応して、平成28年に施行された障害者の権利に関する法律です。法律では、どのような取り扱いが差別にあたるのか、また差別をなくしていくために、公共、民間に対してどのような取り組みが求められるのか、そのための制度をどのように整備するかなどについて述べています。障害者を雇用するうえでも、この法律は重要な役割を果たします。
合理的配慮がキーワード
特に理解しておきたいのが「合理的配慮」です。障害のある人に対してどのように処遇していけば不当な差別にならないか、どこまでやっておくべきかを示すものです。障害者の差別を解消していくためには様々なことが考えられますが、事業者などに過重な負担にならない範囲の配慮のことを合理的配慮と呼びます。障害者を雇用する場合には、合理的配慮を提供することが必要になります。
平成28年に改正された障害者雇用促進法でも、障害者差別の禁止、合理的配慮の提供義務が定められました。
ITを使った合理的配慮
ITを活用して、障害者が仕事をスムーズに、効率的に行えるようにすることも、合理的配慮になります。たとえば、視覚障害者を雇用すれば、コンピュータの画面を読み上げるスクリーンリーダーや画面を拡大するソフトウェアを導入して、業務で使用するソフトウェアを利用できるようにすることが必要です。
合理的配慮指針
厚生労働省障害者雇用対策課は、どのような合理的配慮が考えられるかをまとめた「合理的配慮指針事例集」(第三版)をまとめました。この資料から、ITの関する事例を抜粋してみましょう。
視覚障害
- 文字の拡大、音声ソフトの利用、点字を活用した採用試験を実施
- PC の基本機能(文字のポイントを上げる、拡大鏡機能、画面の白黒反転機能)で対応
- 視覚障害者への配慮のために導入している機器
- 拡大読書器
- 音声読み上げソフト
- 点字入力用キーボード、点字翻訳ソフト
- ポータブルレコーダー
- 音声機能付きコピー機、FAX
- 各種ソフトが正常に稼働するための専用 PC、各種ソフトに対応した社内システム
聴覚障害
- 指導・相談の仕方の例
- PC、携帯電話の画面やメール、ホワイトボードの活用、筆談、日誌や連絡ノートにより指示や相談対応
肢体不自由
- 作業が可能となるように、本人が業務上用いる道具等を工夫
- 本人の使いやすいキーボードとマウスを提供
- メモを取る動作の負担を軽減するため、タブレット型パソコンを設置
知的障害
- 社内ポータルサイトに、障害者の働く部署や働いている障害者を紹介するコーナーを作り、多くの社員が障害のある方について理解できるように工夫
合理的配慮の行き届いた事業所づくりのために
もちろん、IT以外の対応、例えばトイレや机、移動に対する配慮や、通勤、業務の指示の出し方など合理的配慮では、様々な対応が求められます。まずは、障害者自身とよく話し合って、事業所として対応できることから始めていきましょう。
なお、障害者雇用には様々な助成金制度も設けられています。それらを活用することで、事業所のコストを抑えて環境整備を進めていくことも可能です。
弊社では、障害者のコンピュータをはじめとしたIT活用のお手伝いいたします。ぜひ、お問い合わせください。